意思決定理論入門(ギルボア)読んだ

戦略関連の本を読む中で、意思決定論も勉強したほうがいいというような話を見たのでとりあえず入門書を一冊読んだ。読んだのは意思決定理論入門(イツァーク・ギルボア、川越敏司+佐々木俊一郎訳)。基礎知識としては、高校数学でやるような確率論と初歩的な統計学の知識があれば読める本だった。ベイズ統計の知識が必要になるところも少しあったが…。数式をあまり使っていない本だという評判を見たので多少不安もあったが、そのために迂遠になっているわけではなかったと思う。最初に問題を読者に提示し、その回答を決定する方法を意思決定理論で解説して、さらにその理論の例外となる問題を提示するという順序で話が進んでいく。読者の自分が回答をした後に解説がなされるので、自分という人間の判断が意思決定理論で説明されるところを見せられることになり、なるほどと納得させられた。さらに、続けざまに例外的なことが解説されるので、最初の問題に回答するときの判断を別の角度から見直すことになって面白かった。解説に納得させられるし退屈しないので面白い形式の本だったと思う。序盤に書いてあった「絶対的な基準で良いと言えるような判断は必ずしも存在しない、あなたが納得できる判断を行えるようにするために意思決定理論があるのだ」というところで、絶対的な基準のないところにアプローチする方法を探すことを分野として目指すのは興味深いと挑戦だと思った。