BS世界のドキュメンタリーお気に入り番組三選

普段よく視聴しているBS世界のドキュメンタリー(放送局:NHK BS1)。この番組では主に外国の放送局が製作したドキュメンタリーを放送するのですが、重たく深いところまで踏み込んだ番組が多く面白いのでいつも視聴しています。再放送が多く、今後視聴する人もいるかもしれないと思うのでいくつか面白かったものを紹介します。再放送の放送時間はだいたい夕方5時や深夜0時というリアルタイム視聴が難しい時間帯なので、視聴するにはあらかじめ番組表で把握しておくことをお勧めします。
*視聴からしばらく経っているので感想には多少の記憶違いがあるかもしれません

 

みんなのための資本論
4回ほど再放送されている番組。アメリカの経済学者が、アメリカで起こっている経済格差の拡大とそれによる社会への影響について考察する。税制や産業形態の変化によりここ30年で経済格差が拡大していることを示し、それが選挙を通じ政治的な混乱につながるのではないかと考察する話で、経済格差が政治のバランスという大きな枠へつながっていて、面白いことを研究している人がいるものだなと思った。米の60年代以降の好景気時代は所得税最高税率が70%もあり、そこから所得税が下がるにつれて格差が拡大する、労働組合の組織率が低下するにつれて経済格差が広がっているという論証も鮮やかだった。また、グローバル企業の台頭で労働者と経営者の格差が拡大し、大きな財産を持つようになった経営者は選挙・政治活動に資金を投入するため政治の場でのバランスが悪化するという話をしていて、自由な社会を目指したはずが経済格差→選挙というプロセスで社会環境を悪化させるというのがなんとも皮肉だった。2013年にこういう現在を予見するようなことを言っていたというのも驚き

 

暴かれる王国 サウジアラビア
*処刑等の残酷シーンがあるので注意
外国マスコミにあまり公開されていないサウジアラビアの内情を、架空の会社を装って潜入、現地住民からの映像提供で明らかにしていく。確かにTV等でサウジアラビアの豪華な街並み以外の、住民がどう暮らしているかといった映像は見たことがないが、この番組を見るまでそれに気づかなかった。貴重な映像が見られる

City40 〜旧ソビエトの“秘密都市”を行く〜
旧ソ連に存在した秘密都市。核やミサイル開発といった重要機密を扱うため地図にも記載されず、住民は基本的に町の外に出ることも許されなかった街。この番組では、現在のロシアの秘密都市オジョルスクを取材する。秘密都市には大学や劇場が存在し、豊かな都市だったのというが予想外。ソ連時代の物不足だった時期でも食料品が豊富に存在したらしい。原子力産業に従事した研究者は、研究に没頭できる環境を求めて秘密都市にやってきて、初めはその恵まれた環境に満足していたものの、しばらくして自分の子供さえ町の外への出ることが許されないことを後悔したという話があって、研究に専念できる環境という職業柄一番の望みを叶えようとした結果大きな代償を払うことになったのが悲しい。秘密都市住民は、戸籍に実際の住んでいる場所が記載されていなかったため、そのことが後々裁判などで問題になっているというのも難しい話だなと思った。秘密都市には今もたくさんの人が住んでいて、豊かでありながらも強く制限された人生を歩まなければならない、というのが印象に残った