リデルハート 戦略論 間接的アプローチ[上] 感想

 歴史上の戦いを見ていくと間接的なアプローチこそが勝敗を決める。ではその例を見ていこう…という内容で、序盤で間接的アプローチとは、というのを見てその後は約200ページの7割くらい歴史上の戦いから間接的アプローチの有効性を示す例が続く。この巻では古代〜アメリ南北戦争を扱っている。古い本なので、このあたりでは最近否定された話も出てきて注意が必要そう。後、戦史パートでは地図が全然示されないので自分で地図を見ながら読む必要あり。
 相手の後方を狙う、自軍を弱いように見せて攻撃を誘うといった間接的なアプローチこそが勝利を左右する、というのが本書のテーマなのだけど、自分には城を攻めてはいけないこと、奇襲の重要性、機動の必要性等の原則の一般化のように思えた。失敗例として書かれている直接的アプローチは、相手に強引に決戦を挑んで撃退されるor勝利するも戦力を失うといったものが多い。分解するなら敵の城を攻めてしまった、奇襲を欠いてしまったことの結果防御側有利の原則が働く、というものに近い。それに対し成功した間接的アプローチはハンニバルのアルプス越えの例が示すように、奇襲や機動を有効に使えた結果である、というように見える。最初の方に、人を動かすなら「北風と太陽」の方法だろう、というようなことが書いてあったのが示唆的。